2023/2/27 14:33:24
三友顧客:溧陽維信バイオテクノロジー有限公司など
審理機関:最高人民法院
審判結果:原審判決が維持され、相手方専利の関連請求項の無効が確定
事実関係:
株式会社林原(以下、「専利権者」という)はZL201280055581.8号の専利とZL201510463085.1号の専利を所有しており、その中で、ZL201510463085.1はZL201280055581.8の分割出願である。2件の係争専利はいずれもα,α-トレハロース二水和物結晶の粉末(以下、「結晶トレハロース粉末」という)について保護請求しており、該結晶トレハロース粉末の結晶度などのコアパラメータを限定している。
トレハロースは従来技術において知られている製品であり、食品工業、医薬工業、化粧品などに広く使用されている。専利権者は物理的パラメータで結晶トレハロース粉末を限定し、優れた難硬化性と溶解性を兼備した粉末が得られると主張している。
溧陽維信バイオテクノロジー有限公司などの数社は該係争専利を対象として無効審判を請求しようとした。三友の弁護士党晓林、弁理士庞東成、弁理士姚亮はプロチームを組み立て、依頼を引き受けた。
三友チームは十分に検索を行い、策略の制定に心を込め、2018年9月に2件の係争専利を対象として無効審判を請求した。無効審判の請求において、三友チームは請求項で限定されたパラメータの物理的意義及びそのパラメータと技術効果との関係を突っ込んで分析した。
結晶度と硬化性との関係:係争専利においてカスタマイズ物理的パラメータ「結晶度」で結晶トレハロース粉末を限定し、該「結晶度」と公知の結晶度とは定義が異なり、その物理的意義は実際、结晶トレハロース二水合物の結晶トレハロース粉末に占める比例である。
三友チームは教科書を証拠として採用し、吸湿により粉末が硬化することを立証した。即ち、当業界の公知知識として、粉末の硬化性は、通常、吸湿性に起因するものである。ここから、結晶トレハロース粉末の結晶度が高いほど、吸湿性を有さない结晶トレハロース二水合物の含有量が高くなり、吸湿性を有する非定型トレハロースの含有量が低くなり、結晶トレハロース粉末が硬化しにくくなる。
したがって、当業者は結晶度と硬化性との間に関連性が存在することを知っており、結晶度を調整することにより粉末の硬化性を改善することを容易に想到できる。
結晶度と溶解性との関係:三友チームは係争専利の明細書における各部分の記載内容を利用して権利者が主張した結晶度により溶解性を向上させるという技術効果の不成立を十分に論述した。特に、係争専利において、実際、結晶トレハロース粉末には溶解性に関する技術課題が存在していない。
以上より、三友チームは係争専利が進歩性を具備しないと主張した。国家知識産権局は三友の無効審判請求の理由を支持し、係争専利の関連請求項が無効であると宣告した。
専利権者は北京知識産権法院、最高人民法院へ相次ぎ行政訴訟を提起した。長年に渡る審理を経て、最高人民法院は2023年1月29日に(2021)最高法知行終887号と(2021)最高法知行終994号などの終審判決を行い、専利権者による全ての訴訟請求を棄却し、原審判決を維持した。
典型的な意義:
専利権者がパラメータの限定を利用して、従来技術における既知製品を専利の保護範囲に組み入れることにより、公衆利益の妨害に至るという可能性が十分にある。ただし、パラメータで限定された(特に、カスタマイズパラメータ)製品請求項について、挙証するのが困難であり、無効訴訟における難関となっていた。
最高人民法院は、以下の通り考えた。パラメータで示される既知の化学製品の進歩性の判断について、一般には、従来技術では、該パラメータと明細書に記載された技術効果との関連性に注目されているか否かを考慮すべきであり、従来技術では、関連パラメータ及びそれによる技術効果に気付き、または、当業者が公知の知識に基づいて該パラメータを調整すれば相応する技術効果を得られることを知り得、かつ該パラメータを調整する技術手段も結合しやすい従来技術に属すならば、パラメータで限定された既知の化学製品を採用することは自明である。
当案件はパラメータで限定された製品の請求項の無効化にとって重要な参考がいがある。






