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コラム
【友学問】特許出願には完全な特許にできる機会が結局何回あるのでしょうか?

私の特許出願には何故補正が必要なのか?

なぜなら、技術的解決手段それ自体が不十分なものだから。

なぜなら、出願書類の記載に不備や誤りがあるから。

なぜなら、出願人が得ようとする保護範囲に問題点があるから。

なぜなら、出願人の利益と社会公衆の利益が抵触するから。

なぜなら……

 

いずれにせよ、特許出願は、数多くの理由によって常に補正が必要となりますが、法制度の規定には強行性があるので、補正したくても補正できないときもあれば、補正したくなくても補正しないことが認められないときもあります。

今日は、特許出願には補正の機会が結局何回あるのだろうか? また、これらの機会をどのように捉えるべきなのだろうか? といった点についてまとめてみましょう。

 

いつ出願書類を補正できるか?

出願書類の補正は、主に権利付与と権利確認の段階ですることになりますが、それらのうち、権利付与段階である実体審査段階及び拒絶査定不服審判段階に集中しています。

 

中国特許法実施細則第51条には、出願書類を補正できる時機について次の通り規定されています。

発明特許の出願人は、実体審査の請求をする際及び国務院特許行政部門が発送する発明特許出願実体審査段階移行通知書を受け取った日から3ヵ月以内に発明特許出願について自発的に補正をすることができる。

実用新案特許又は意匠特許の出願人は、出願日から2ヵ月以内に実用新案特許出願又は意匠特許出願について自発的に補正をすることができる。

 

『特許審査指南』には、次の通り規定されています。

これらの期間を超える補正については、補正に係る書類によってもとの出願書類に存在していた不備が解消され、かつ、権利付与される見込みを有するときは、当該補正書類も受け入れて差し支えない。

 

実務では、不注意からこれらの期間を経過しても、試してみること自体は妨げられませんが、もしうまくいっても?

出願人は、国務院特許行政部門が発送する拒絶理由通知書を受け取った後、特許出願書類について補正をするとき、通知書で指摘された不備に対して補正をしなければならない。

 

国務院特許行政部門は、自ら特許出願書類中の文言及び記号の明らかな誤りを訂正することができる。国務院特許行政部門は、自ら訂正したとき、出願人に通知しなければならない。

 

▎拒絶査定不服審判段階における補正

請求人は、拒絶査定不服審判の請求をする際及び特許審判委員会の拒絶査定不服審判通知書に対して応答する際にすることができますが、拒絶査定で又は合議体から指摘された不備を解消する補正のみに限らなければなりません。

 

▎無効審判段階における訂正

無効審判段階においても特許書類を訂正することができますが、特許請求の範囲のみに限られ、明細書、図面などの特許書類は、訂正することができず、明らかな単語、記号の誤りの訂正であっても認められません。

 

 

しかし、『特許審査指南』には、さらに次のように定められています。

補正の時機又は形式が特許法実施細則第51条の規定に適合しなくても、補正がされた書類によってもとの出願書類に存在していた不備が解消され、かつ、特許法第33条の規定に適合し、権利付与の見込みも有するものであれば、受け入れることができる。

 

このため、試してみてこそ、うまくいくこともあります。

 

出願書類の補正は、どのようにして行うのでしょうか?

 

まず、次の点を銘記しておきましょう。発明特許、実用新案特許、意匠特許のいずれであるか、又は請求項、明細書のいずれであるか、若しくは国内特許出願、国際特許出願のいずれであるか、或いは自発補正、命令補正のいずれであるかにかかわりなく、すべて次の条文を遵守しなければなりません。

 

中国特許法第33条には、次の通り規定されています。

 

出願人は、その特許出願書類について補正をすることができるが、発明又は実用新案の特許出願書類についての補正は、当初の明細書及び特許請求の範囲に記載された範囲を超えてはならず、意匠の特許出願書類についての補正は、当初の図面又は写真に表された範囲を超えてはならない。

 

 

相違するのは、発明特許出願の補正である場合、時機の違いによって補正の認められる範囲に差があるということです。

 

自発補正の認められる時機に出願書類を補正すると、自由度が大きく、出願書類のすべての内容を補正することができて、請求項の保護範囲を拡張することや減縮することもできれば、さらには、独立請求項や従属請求項を追加することもでき、その出願の当初開示された範囲を超えない補正でさえあれば認められます。

 

一方、他の時機にする補正は、もとの出願書類に存在していた不備に対する補正しか認められません。

 

他の時機にする補正の場合、次のような特許請求の範囲及び明細書の補正は、認められます。

 

▎特許請求の範囲の補正

 

認められる特許請求の範囲の補正には、次のものが含まれます。

 

1.独立請求項に技術的特徴を追加し、さらに特定するもの。

 

2.独立請求項中の技術的特徴を変更するもの。

 

3.独立請求項のカテゴリー、主題の名称及び対応する技術的特徴を変更するもの。

 

4.単一性欠如又は請求項のサポート要件違反を解消するために1つ又は複数の請求項を削除するもの。

 

5.最も近い先行技術に対して独立請求項を正確に区分するもの。

 

6.従属請求項の引用部を補正し、引用関係における誤りを是正するもの。

 

7.従属請求項の限定部を補正し、当該従属請求項の保護範囲を明確に特定するもの。

 

▎明細書の補正

認められる明細書及びその要約の補正には、次のものが含まれます。

1.発明の名称を補正し、保護を求める主題の名称を正確かつ簡潔に反映したものとするもの。

2.発明の属する技術分野を補正するもの。

3.背景技術の項目を補正し、保護を求める主題により近い引用文献の内容を追加するか、又は関連のない内容を削除するもの。

4.発明の内容の項目のうち当該発明が解決する技術的課題に関連する内容を補正し、保護を求める主題に適したものとするもの。

5.発明の内容の項目のうち当該発明の技術的解決手段に関連する内容を補正し、独立請求項で保護を求める主題に適したものとするもの。特許法及び同法実施細則の規定に適合する補正を独立請求項にするときは、その部分に対応する補正が認められます。

 

独立請求項を補正しないときは、もとの技術的解決手段を改変しないという前提で、その部分に、文言を調整したり、標準的でない用語を修正したり、技術用語を統一するなどの補正が認められます。

 

6.発明の内容の項目のうち当該発明の有益な効果に関連する内容を補正するもの。

 

関連する技術的特徴が当初の出願書類に明確に記載されている場合にのみ、その有益な効果が明確に言及されていなくても、当業者がこれらの技術的効果を当初の出願書類から直接的に疑いの余地なく推測することができれば、発明の有益な効果を適切に補正することが認められます。

 

7.図面の説明を補正するもの。

 

8.最良の実施態様又は実施例を補正するもの。かかる補正において追加が認められる内容は、原則として、もとの実施態様又は実施例のうちの具体的内容の出所及び既に記載されている発明の有益な効果のデータを明らかにする標準的な測定方法(使用する標準的な装置、器具を含む)に限られます。

 

9.図面を補正するもの。例えば、図中の不要な語句や注釈を削除するものなど。

 

10.要約を補正するもの。

 

11.当業者が識別可能な明らかな誤りを訂正するもの。

 

▎単一性の要件違反の補正

単一性の要件違反の補正も特許出願の補正の一つに数えることができますが、これは、普段よくいう分割出願のことです。

特許出願は、単一性の要件に適合するものでなければなりません。単一性の要件とは、特許出願の分類、先行技術調査及び審査の便宜のため、さらに、権利化後の譲渡や実施許諾に都合がよいように、1件の特許出願は1つの発明創造に限らなければならないとするものです。

 

1件の特許出願が単一性の要件を満たさない場合、出願人は、特許出願を補正するよう実体審査部門から求められますが、2つ以上の発明創造が含まれる特許出願のうちいずれか一部又はいくつかの部分を分割して、別途1件又は複数件の特許出願をして、各々の出願がいずれも単一性の要件を満たすようにすることができます。

 

特許法実施細則の規定によれば、分割出願は、親出願の出願日を維持することができますが、分割出願の出願書類は、親出願に記載された範囲を超えてはなりません。

 

▎国際出願の補正

国際出願は、国内段階移行時に特許協力条約第28条又は第41条に基づいて補正することができます。国内段階移行時以外には、国内段階移行後の実体審査請求時及び特許庁から発送される発明特許出願実体審査段階移行通知書を受け取った日から3ヵ月以内にも出願書類を補正することができます。

 

特許庁から発送される拒絶理由通知書に応答する際には、自発補正をすることはできません。

 

▎翻訳文の誤訳訂正

国際事務局から送達される原語の書類と対比して、翻訳文に個別の用語、文又は段落の漏れや不正確な点があるときは、その手数料を納付すれば、遅くとも権利付与の前までに翻訳文誤訳訂正の手続をすることができます。

 

▎願書の訂正

願書を訂正するには、別個に書誌的事項変更の手続をしなければなりません。出願人は、「書誌的事項変更届出書」に出願人、発明者などの変更する書誌的事項を記載して、一定の手数料を納付することになります。

 

補正をして磨き上げられ、審査官と推敲に推敲を重ねた特許こそが、試練をくぐり抜けた特許となります。以上のかくも多くの補正の機会を捉えて活用することで、あなたの特許は、より完璧なものとなることでしょう!