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コラム
《中華人民共和国商標法改正案》につき意見公募

「知的財産権法治保障の強化」の要望を貫徹させ、商標制度をさらに完備させ、商標分野に存在している際立った問題点を解決し、社会主義市場経済の質の高い発展を促進するために、国家知識産権局は《中華人民共和国商標法》改正活動を積極的に推進し、《中華人民共和国商標法改正案(意見募集稿)》を起草し、意見募集を開始し、社会各界の注目を集めている。

《商標法》は1983年3月1日に施行された後、1993年、2001年、2013年、2019年の前後に渡って4回の改正を経た。今回の改正はさらに体系を協調化?一致化にし、商標法を計10章101個の条項まで拡充し、その中で、23個の条項を追設し、実質的に45個の条文を修正した。改正の主な内容は以下の通りである。

第一に、出願人は商標出願をするときに、商標の実際の使用情況または使用の意図があるという情況を説明する必要がある。

評論と分析:使用を目的としない悪意登録出願の撲滅を旨とする。未使用または短期間まだ使用の意図のない商標について、事情を酌量して商標出願を行い、既に使用または使用の意図のある商標について、使用の証拠、使用の意向に関する書類及びビジネス企画書を残しておくことに気を付けるべきである。


第二に、商標登録者はその商標が許可登録された後の5年ごとに、該商標の許可商品における使用情況または不使用に関する正当な理由の説明を提出しなければならない。

評論と分析:この改正は商標の使用義務をさらに強調し、遊休商標を一掃し、商標の買いだめ行為を抑制し、使用を目的としない悪意登録申請を取り締まる;使用義務が強化されたことは、出願人に使用証拠を定期的に収集することに注意させ、証拠が定期に提供されていないことが原因に、商標が取り消され、無効化されることを回避する。それとともに、商標出願の件数を控え、真実の使用の目的で商標出願を行う。


第三に、商標出願人は商標出願及び商標権の行使をする場合、信義則を遵守し、権利濫用の禁止の原則を守らなければならない。

評論と分析:第9条の箇所では、「商標権者は商標権を濫用して国家利益、社会公共利益または他人の合法的権益を損なってはならない」と追加され、ある程度悪意訴訟を撲滅し、権利の濫用を禁止することを旨とする。

出願人としては、信義則を基に商標登録出願を提出し、適度に、合理的に権利行使することに留意すべきである。


第四に、登録出願をする商標は、出願人が同一の商品において先願、既登録した、または出願日の1年前までに公告による抹消、取消、無効宣告された先行商標と同一であってはならない。重複出願が禁止され、同一所有者につき同一商品において、同一商標1つのみの所有が認められる。

評論と分析:この措置は、悪意による先取り登録者が商標を先取りて登録する行為をある程度抑止することができるが、実際にビジネス上のニーズがある企業の商標権の取得にも一定の影響を与える。


第五に、補正案第22条において悪意商標出願の類型を明確にし、国家利益、社会公共利益の違反及び使用を目的としないなどの絶対的理由を含むほかに、他人の先行権利の侵害、代理関係で実施された先取り登録などの相対的理由も含む。

評論と分析:明確化された悪意商標出願の類型は、その後の商標権行使、法執行にとってより便利になり、悪意行為の撲滅にとってより有利になる。


第六に、初歩査定公告された商標につき、公告日より2ヶ月以内に、先行権利者、利害関係者はそれに対して異議申立てをすることができる。異議申立期間は2カ月に短縮される(ここから、答弁と補足の期間も2カ月に短縮されると推論される)。

評論と分析:異議申立期間の短縮は権利取得のための時間をさらに短縮させるが、時間の短縮により、出願人が異議申立資料を適時に準備できず、期限通りに異議申立てを提出できない恐れがある。これとともに、出願人は商標異議時期を適時にウォッチングすることに留意すべきである。


第七に、異議申立人が異議申立てを提出し、国務院知識産権行政部門は不登録旨の決定を下り、異議申立人は不服がある場合、人民法院に提訴する。不登録不服審判手続きがなくなることは、少なくとも12ヶ月の時間を節約することができる。

評論と分析:不登録不服審判手続きがなくなることは、少なくとも12ヶ月の時間を節約することができるが、被異議人は一回の不服する機会を失い、次の段階は人民法院へ提訴するしかないということになる。したがって、被異議人は商標が異議申立てられた後、できるだけ異議答弁を行い、関連証拠を提出し、異議手続き中において勝訴になるよう努力すべきである。


第八に、著名商標を模倣したもの、代理?代表関係の下で実施した先取り登録したもの、または他人が既に使用しておりかつ一定の影響力のある商標を不正な手段で先取り登録したものに対する無効審判で勝訴した無効審判請求人は当該登録商標を自己名義に移転するように請求することができるが、異議申立手続きにはこの規定がない。

評論と分析:この改正は無効審判請求人の負担を軽減することができ、商標を再出願する必要がなく、譲渡を請求することにより商標権を取得することができる。


第九に、悪意をもって他人の著名商標を複製、模倣または翻訳し、代理人、代表者、利害関係者として他人の商標を先取り登録し、他人の既存の先行権利、権益を損なったり、他人が既に使用しておりかつ一定の影響力を有する商標を不正な手段で先取り登録するなどの行為につき、係わる他人は人民法院へ提訴し、損害賠償を請求することができる。また、悪意をもって商標訴訟を起こされた場合は、人民法院は法に基づき処罰を与える。

評論と分析:この措置は、悪意をもって他人の商標を先取り登録する行為及び悪意をもって権利行使する行為を効果的に規制することができ、権利者が悪意先取り登録を撲滅するためのコストを効果的に削減することもできる。ただし、悪意に基づく商標訴訟については、慎重に行う必要がある。


第十に、商標代理機構に対する要求はさらに厳しくなり、参入許可のハードルが引き上げられ、一部の商標代理機構は姿を消すであろう。

評論と分析:この措置は、代理業界の秩序を守り、出願人の権益を保障し、代理機構と商標弁理士のプロレベルを高め、市場環境を浄化させ、悪意行為をある程度抑止することができる。