2025/6/27 13:20:05
商標取消手続きの更なる規範化と請求の効率化を図るために、中国国家知識産権局商標局は『3年間連続して使用していない登録商標に対する取消請求』の内容を改訂した。それにおける主な変化として、請求人の立証責任と証拠の定量化要件を明確にしたことであり、これにより、長い間施行されていた「立証責任の転換」のルールに重大な転換を迎えた。
一、改訂の背景
3年間連続して使用していない登録商標を取消す(「撤三」と略称する。)制度の本意は、商標の取りだめを防止し、商標登録者に商標の積極的な使用を促すことにある。しかし、実務の中「立証責任の転換」ルールのため、請求人は十分な立証を必要とせずに「撤三」手続きを行えるのがしばしばであり、これにより、大量の悪意請求が氾濫してしまい、登録者はかなり重い立証負担を強いられるばかりでなく、その正常な経営活動とブランド建設にさえ影響が及んだ。同時に、大量の行政資源が消耗され、公平で秩序ある商標市場環境が破壊された。
二、改訂の主な内容
今回の「撤三」に対する新たなルール改訂は、「撤三」手続きにおける請求人の立証義務を重点的に明確にするとともに、定量化、標準化の証拠要件を取り入れた。主に以下の幾つかの面を含む。
1.立証責任の前倒し:元は商標登録者が立証責任を負うと規定されたが、現在は請求人が十分な証拠を提供して、取消請求対象商標が正当な理由無しに3年間連続して使用していないことを立証するように変わり、請求人の立証責任を著しく加重した。
2.証拠の定量化要件:請求人は以下の3つの面からサポート資料を提供する必要がある。
1)商標登録者の基本情報:例えば、請求対象商標の登録者の経営/業務範囲、経営/存続状態、登録商標の情況など;
2)請求対象商標に対する市場調査の情況:ネット検索証拠(総合的ネットプラットフォーム、ECプラットフォーム及び業界的ウェブサイトなど少なくとも3つのプラットフォームにおける、検索条件ごとに連続5ページの検索結果を提供する必要がある)、業界調査報告書または第三者分析報告書などの専門報告書及び実地調査証拠を含むが、これらの限りではない;
3)誠実信義承諾メカニズム:請求人が「撤三」を請求する前に誠実信義承諾条項の内容を確認する必要があり、いったん提出すれば、前述条項を認めたものとみなされ、虚偽の陳述と手続きの濫用を回避する旨明確に規定されている;
4)審査の更なる厳格化:商標局は請求人側を厳しく審査し、請求コストと困難度を高め、証拠偽造などの不信行為を防止する。
三、実務上の策略及びコメント
「撤三」に関する新たなルールが実施される背景下、「撤三」請求人は以下の策略に対して重点的に関心を払うべきである。
1.対象商標に対して事前調査とスクリーニングを行い、無効な請求を回避すること;
2.システム化された証拠リストテンプレートを構築し、資料が完全で、標準に合致することを確保すること;
3.専門的ツールとプラットフォームを利用し、証拠取得の効率を向上させること;
4.手続きのコンプライアンスと請求品質を保障するために、プロの代理機構に依頼することを薦める。
今回の改訂は中国における「商標撤三」制度を最適化する重要な改訂であり、従来にあった「立証責任の転換」のルールを変え、手続きをより公平、透明なものにし、商標制度の公信力を高めた。将来、商標出願人と商標の使用者は、関連法律法規の動向にリアルタイムに注目し、洞察し、政策のリズムに乗り、専門的な力を利用して初めて、法律に基づいて自分自身の権益を守り、商標業界全体の生態健康、秩序ある発展を推進することができる。