2025/12/26 17:02:14
一、改正の背景
2025年11月10日、「国家知識産権局による『特許審査指南』の改正に関する決定」(局令第84号)が正式に公布され、新「指南」は2026年1月1日より施行される。
二、改正要点
(一)予備審査事務
1.発明者の身元情報の規範化
発明者は自然人でなくてはならないことを明確にし、願書には、全ての発明者の真実な情報を記入しなければならず、虚偽の記入は禁止される。通常、審査官は発明者の身元を自発的に審査しないが、規定に適合しないことを示す証拠がある場合、その真実性を確認する。この措置により、人工知能(AI)など非自然人の発明者資格が排除されるとともに、発明者の身元偽装という不正現象が抑制される。
特許出願願書の発明者情報記入要項(2026 年 1 月 1 日より施行):
1)外国籍発明者: 外国籍発明者全員の氏名及び国籍を記入する。当面身分証明書番号の提供は不要とする(PCT 出願の中国への移行についても同様)。
2)中国籍発明者: 中国籍発明者全員の氏名、国籍及び身分証明書番号を記入する。
3)核心的な要求: 発明者は自然人でなければならない。発明者の情報はすべて真実かつ漏れなく記載しなければならない。
4)施行後、実際の状況により追加または調整が生じる可能性があり、弊所は引き続き法改正の動向を見守る。
2.分割出願における優先権ルールの新設
分割出願において優先権を声明しない場合、優先権を主張していないものとみなされる。出願人は分割出願における願書に、優先権情報を正確に記入しなければならない。「優先権の主張がされていないものとみなす」旨の通知を受け取った場合、「指南」第一部分第一章第6.2.6.1節に基づき、優先権の回復を請求することができる。
(二)実体審査事務
1.植物品種の保護される客体の明確化
植物品種を「人工的に選抜?育成され、または発見され改良されたものであり、形態的特徴や生物学的特性が一致し、遺伝的な形質が安定している植物群」と定義し、人工的に選抜?育成され、かつ産業上の利用価値がある野生植物は科学的発見に該当しないことを明確にした。同時に、遺伝子組換え動植物の表現を調整し、それが動植物品種の範疇に属する場合、特許によって保護される客体に納入しない。この改正により、「植物新品種保護条例」との境界が明確になり、特許によって保護される客体の範囲が拡大された。
2.同日出願の処理の規範化
同一の出願人が同日に1つの発明創造について実用新案と特許を出願する場合、その旨を説明しなければならない。説明がない場合、「特許法」第9条第1項にいう「同一の発明に対して1つの特許権のみを付与する」に基づいて処理され、既に授権された実用新案が有効期間内にある場合、特許出願は直接拒絶される。説明がある場合、特許の審査において拒絶理由がないとき、出願人は実用新案特許権を放棄しなければならず、さもなければ、特許出願は拒絶される。特許出願の権利範囲を補正すること特許と実用新案両方で権利を得ることができなくなった。
3.進歩性に関する審査規則の整備
請求項において技術課題の解決に寄与しない構成要件は、通常、進歩性をもたらさないことを明確にした。審査官は当業者の立場に立って、技術案全体を評価しなければならないことを強調している。
4.人工知能(AI)、ビッグデータに関する審査規則の明確化
データ収集、ラベル管理、ルール設定、推奨決定などの内容、例えば、法律や公序良俗に違反し、または公共の利益を害する内容に係わる場合、特許が付与されない。人工知能の倫理審査及び明細書の十分な開示に関する作成要件と事例が新設され、制度上の空白が埋められたとともに、出願のハードルが引き上げられた。
5.ストリーミングメディア関連発明の審査規則の新設
単純なビットストリームのみは特許によって保護される客体に該当しないが、ビットストリームを生成するビデオ符号化方法が技術案に該当する場合は、それにより限定される記憶方法、伝送方法及びコンピュータ読み取り可能な媒体は保護を受けられる。同時に、関連出願書類の記載要件も明確にされ、ストリーミングメディア産業の発展ニーズに対応している。
(三)拒絶査定不服審判及び無効審判事務
1.無効審判における不受理事由の新設
「請求人の真の意思表示でない」ことを不受理事由に納入し、他人名義での請求行為を禁止する。
2.無効審判請求理由及び証拠の明確化
「同一の理由及び証拠」を「同一のまたは実質的に同一の理由及び証拠」に修正し、「一事不再理」の原則をより良く貫徹し、請求人と特許権者との権益のバランスを図る。
3.無効審判手続きにおける補正バージョンの提出方式の規範化
特許権者は「全文差替えページ+補正対照表」の形で提出しなければならず、同一の手続きにおいて複数回提出する場合は、最後に規定に適合しているバージョンを審査の基礎とし、これにより、分岐の減少や効率の向上を旨とする、との規定が新設された。
(四)特許出願及び事務処理
1.配列一覧表における費用徴収規則の調整
所定の形式に適合している電子配列一覧表については、ページ数に基づく費用徴収を廃止し、紙書類での提出については、元通りにページ数に基づいて追加料金を計算?徴収する。これにより、負担が軽減され、電子出願の普及に資する。
2.返金規則の修正
「特許局からの自発的返金」の情況と「当事者の請求による返金」の情況とを統合し、過剰納付した料金、重複納付した料金、誤納した料金については、特許局は自発的に返金をせず、当事者から請求を提出する必要がある。これにより、返金の正確性と適時性を確保する。
3.特許権期間補償の明確化
「拒絶査定不服審判請求人の新たな理由または新たな証拠に基づき拒絶査定を取り消す不服審判手続き」を期間補償における合理的な遅延と位置付ける。「新たな理由」とは、実体審査における未主張の理由のこと、「新たな証拠」とは、拒絶査定が行われる前に提出されなかった証拠のことである。審査が法定手続きに違反したことにより拒絶決定が取り消された場合を除く。
三、結び
今回の改正は範囲が広く、目的性が高く、新たな分野における技術発展に伴う特許保護のニーズに適応しており、複数の審査規則を明確化にした。特許出願人は新「審査指南」を厳格に遵守し、出願書類の作成や審査手続きへの対応、費用管理などの面から出願の質を向上させ、発明創造が効率的に保護を受けることを確保しなければならない。






