2024/2/7 16:20:53
三友顧客:山東能特異エネルギー科学技術有限公司(SHANDONG NATERGY ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.)
審理機関:北京市高等人民法院
裁判結果:係争商標の審判対象の指定商品「ゲッター」における登録を維持し、能特異社の一部の上訴理由が成立し、二審法院がそれを支持し、一審判決、被訴決定を取消し、国家知識産権局は係争商標について改めて取消審決を行う旨判決を下った。
案件の概要:
山東能特異エネルギー科学技術有限公司(以下、「能特異社」という。)は専ら中空ガラス用モレキュラーシーブス3Aの生産と研究開発に従事するハイテク企業である。2006年1月23日、能特異社は第5134657号の「Natergy」商標を出願し、第1類の「ゲッター;触媒;けい酸塩」などの指定商品において商標登録を受けた。
2019年10月、あるエネルギー関連の会社は当該商標に対して連続三年間の不使用による取消を請求した。商標評審審理の段階で、国家知識産権局は能特異社が提出した証拠では、係争商標が指定の使用期間内に指定商品において真実かつ有効な営業の目的をもつ使用が行われたことを証明するに足らないとして、係争商標を取消した。能特異社は取消決定に不服し、北京知識産権法院へ提訴した。法院は審理を経て、原告(能特異社)が提出した証拠で示された商品は何れも「モレキュラーシーブス3A」であり、該商品は《類似商品及び役務区分表》に記載の規範的商品ではないと認定した。
審理の経緯:
一審において、原告は該商品が「けい酸塩」(0102(四))と同一商品に該当するため、係争商標の「けい酸塩」を含む全ての指定商品における登録を維持すべきであると主張した。調べによって、けい酸塩は「モレキュラーシーブス3A」の主成分であり、この主成分はそれによって合成された商品と同等すべきでないことを判明した。ゆえに、原告が提出した証拠では、係争商標の「けい酸塩」商品における使用を証明するに足らないとして、一審法院は原告の訴訟請求を棄却した。
二審において、さらに関連使用証明及び知名度に関する証拠を提出するほかに、三友の代理弁護士は、能特異社が製造販売した「モレキュラーシーブス3A」商品が主に中空ガラスの乾燥に用いられ、その主な機能は中空ガラス中の水蒸気を吸収することであり、ゲッターの機能を果たしており、ゲッターと同等する、またはゲッターの一種に該当することを立証するために、大量の技術文献を検索し、検索の結果に基づいて《ゲッター関連技術用語-国家基準》、ゲッター関連特許文献及びゲッター関連の書籍を提出した。また、検索した結果に基づいて最高人民法院の非規範的商品の認定に係る先行案例を提出し、能特異社の係争商標が付された商品が業界及び政府関連部門の認可を得た証拠と受賞の証拠を提出し、係争商標が権利者がその主な経営業務において使用する唯一の英語商標であり、該商標の取消により、権利者の経営が困難な状況に強いられ、大きな損失を被ることになると主張した。
二審法院は審理を経て、「モレキュラーシーブス3A」が水蒸気を吸着する機能はその主な機能であり、該機能はゲッターの機能範疇に属し、「モレキュラーシーブス3A」はゲッターの下位概念であると認定することができ、係争商標の「モレキュラーシーブス3A」における使用は、審判対象の指定商品「ゲッター」における使用であると認定でき、ゆえに、係争商標の審判対象の指定商品「ゲッター」における登録を維持すべきと認定した。
典型的な意義:
実際に使用されている商品が《類似商品及び役務区分表》に記載の規範的商品に該当しない情況について、商品について補正指令を出されることを回避するために、権利者は商標を出願するときに区分表を参照してその実際に使用している商品に近い商品を選んで商標登録出願をするのが一般的であるが、連続三年間の不使用による取消案件において、権利者は使用が許可された商品において商標を使用したことを立証する必要があるため、権利者の立証上の困難性を大幅に引き上げた。本件において、三友の弁護士は大量の証拠を検索することによって、最も重要な証拠を見つけ、権利者が実際に使用している「モレキュラーシーブス3A」商品が機能?用途において指定商品とほぼ同じであり、指定商品の下位概念に該当することを主張することで、最終的に法院に支持された。
実際に使用されている商品と指定商品とが100%対応していない情況について、商標登録が維持されるように、商品間の関連性を積極的に立証するほかに、権利者としては、商標登録を出願する際、特に、実際に使用している商品が非規範的商品である場合、できるだけ実際に使用している商品を選んで登録することを薦める。そのようにする場合、商標出願手続中に、商品が規範に沿わないため商標局から補正指令を出される可能性があるが、いざの商標が連続三年間の未使用による取消を請求された案件の場合、指定商品における使用証拠を提供できないために商標が取消されるリスクを効果的に低減することができる。