2026/5/26 10:46:42
知的財産権保護が一層強化される状況のなか、商標権の付与?確定、商標権侵害、不正競争紛争は裁判上の重点案件となっている。2026 年 4 月 20 日最高人民法院は2025 年人民法院知的財産権代表判例を発表し、商標関連判例 4 件を掲載した。
短語商標の識別力認定、中古再生商品に関する商標権侵害の刑事民事連携、懲罰的損害賠償の適用、模造商標の刑事民事連携、悪意による商標出願規制など重要論点について裁判ルールを明確化し、実務上の指針を示している。
一、短語商標の識別力認定:「短語は識別力を有しない」とする常識を覆す
判例概要
ある企業が香水商品に「ジョージ卿の悲劇」という商標を出願したところ、国家知的財産権局は当該短語に識別力がないとして拒絶し、一審、二審ともに拒絶査定に関する決定を維持した。最高裁は再審で判断を覆し、当該短語が定着した慣用表現ではなく独自性を備え、香水業界の慣用標識ではない上、実際の使用を通じ需要者に商品出所を示す標識と認知されていることから、本来的識別力を有し登録が認められると判断した。
裁判の核心ポイント
短語商標が当然に識別力を欠くわけではなく、文字組み合わせの独自性?業界での慣用性?実際使用実績を総合的に判断する。
同様の形式の短語商標が既に登録認可され、需要者が当該短語を特定商品と結び付け認知していることは、識別力認定の重要な根拠となる。
商標識別力の本質は商品出所を識別する点にあり、定型語句か否かという形式面ではない。
実務上の留意点
短語商標は識別力なしと判断されやすいため、企業が同種商標を出願する際は、使用実績、市場宣伝資料、使用及び知名度に関する証拠を整理?保存し、識別力を補強することで登録の成功率を高めることができる。
二、中古ネットワーク機器再生転売:刑事民事交錯事案における商標権侵害懲罰的損害賠償の適用
判例概要
被告は中古スイッチを安価で買い取り、分解?シリアル番号改変?再塗装により再生加工した上、権利者商標を貼付し新品として販売した。北京市海淀区人民法院は刑事判決により登録商標を模造する罪を認定した。
権利者は別途民事訴訟を提起し、6 名の被告に商標権侵害責任及び懲罰的損害賠償の適用を請求。裁判所は被告の悪意による侵害かつ事情が重大、係属商標が有名商標と認定済み、侵害組織が体系的かつ規模が大きく不当利益も多額、未販売侵害品の価格が 540 万元を上ると認定。刑事的罰金の要素も勘案し、3倍の懲罰的損害賠償を適用し、6 名の被告に連帯で 2000 万元及び訴訟費用 10 万元の賠償を命じた。
裁判の核心ポイント
同一侵害行為に対し刑事処罰がなされた場合でも、民事上の懲罰的損害賠償の請求は妨げられない。
再生加工商品に商標を貼付し新品と偽って販売する行為は典型的な商標侵害であり、悪意が明らかで事情重大な場合は懲罰的損害賠償を適用できる。
刑事民事交錯事案では責任と処罰の均衡を考慮し、賠償倍率を適切に定める。
実務上の留意点
企業が大規模な再生模造品販売の被害を受けた場合、刑事告発と民事損害賠償請求を並行して行うことで商標権を最大限保護し、模造品製造と販売の利益チェーンを厳しく取り締まることができる。
三、模造登録商標の刑事民事連携:民事侵害手がかりを刑事事件に移送し根源から取締り
判例概要
山東省沂源県人民法院は商標権民事紛争審理中、侵害商品供給元の鄧某が長期にわたり模造ブランド電池を組立、販売し、刑事事件に該当する疑いがあることを発見し、公安機関に関連手がかりを移送した。
公安機関の捜査?検察庁の起訴を経て、裁判所は鄧某が無許可で同一商品に同一商標を使用し、事情が特別重大なため模造登録商標の罪が成立すると認定した。
また、自首と自白があり、被害企業への損害賠償と被害者からの許しを得た事情を考慮し、懲役 3 年、執行猶予 3 年、そして罰金 20 万元を言い渡し、侵害品を全て廃棄するよう命じた。
裁判の核心ポイント
知的財産権事案において刑事と民事の連携を徹底し、民事審理で刑事事件の疑いを発覚した場合は速やかに公安機関へ移送し、根源から侵害を取締り刑事責任を追及する。
実務上の留意点
企業が民事権利保護を行う際、侵害規模が大きく長期間継続し事情が重大な場合は、裁判所と連携し刑事事件へ移送し、侵害チェーンを一斉摘発し、製造販売業者の刑事責任を追及すると同時に民事損害賠償により損失を補填できる。
四、繰り返し悪意商標出願と蓄積で不当利益を得る:不正競争責任を負い、悪意を知り得る代理業者も連帯責任
判例概要
ある企業の「藍妹」ビール商標は高い知名度を有していた。同業他社金某企業は繰り返し商標代理会社に依頼し、「藍味ビール」「藍魅ビール」など類似商標十数件を出願した。その多くが拒絶または無効となったにもかかわらず、一部商標を第三者に実施許諾し利益を得ていた。
広州市越秀区人民法院は金某企業の悪意による商標蓄積と便乗行為が不正競争に該当すると判断した。専門業者である商標代理会社は悪意出願を知りながら業務を行ったため侵害幇助責任が成立し、10 万元を上限として連帯賠償責任を負うとした。
裁判の核心ポイント
営業必要な範囲を超え、有名商標の類似商標を繰り返し出願する行為は不正競争行為となる。
商標代理業者が悪意出願を認知?予見可能であるにもかかわらず業務を引き受けた場合、侵害幇助責任を負う。
商標を蓄積し実施許諾することで利益を得る行為は誠実信用原則に反し、不正競争に該当する。
実務上の留意点
企業は第三者による悪意出願?類似商標蓄積を発見した場合、商標無効審判と不正競争訴訟の二重手段で権利を保護し、悪意を知っていた商標代理業者に対し連帯損害賠償を請求できる。
まとめ
最高裁が公表した 2025 年商標関連代表判例は、明確な司法方針を示している。
商標権を厳格に保護し、付与?確定基準を明確にし、悪意侵害?不正競争を厳罰し、刑事と民事連携体制を整備し、悪意商標出願と蓄積の不正行為を取り締まる。
短語商標登録、再生商品侵害の刑事と民事連携と懲罰的損害賠償、刑事罰と民事罰併用による模造取締り、悪意出願規制のいずれにおいても、裁判所は市場の実態と誠実信用原則に基づき判断を行い、企業ブランドのイノベーションと公正な市場競争を支える堅固な司法保護を提供している。






